BOLY インタビュー④ rare groove
THE BOLY OSAKAはシャワールームにBluetooth対応のスピーカーが搭載していたり、スイートルームにはガラスのスピーカーがあったりと、音楽環境について考えた作りになっております。
ホテル環境において、音楽の要素も強く影響すると考える我々THE BOLY OSAKAチームは「餅は餅屋」と、大阪のレコード屋さんにBGMを作ってもらおう!と考えました。
関西で大規模な「レコード市」を主催されている森本書店の森本さんより紹介して頂いたrare grooveさん。
ホテルのロビー空間に流れる音楽を、月変わりで大阪にあるレコード屋さんにプレイリストを作成してもらうという企画を快く引き受けてくださいました。
そんな、rare grooveの店主・佐藤憲男さんに、今回のMIX音源についてや、今の日本のレコード業界についてお話を伺いました。
INTERVIEWER:THE BOLY OSAKA ディレクター 増田聡
rare groove
〒542-0086
大阪府大阪市中央区西心斎橋1-9-28 リーストラクチャー西心斎橋202
地下鉄心斎橋駅7号OPA出口を出て西へ約2分
[TEL] 06-6657-4454
[営業時間] 10時~19時(定休日:毎週水曜日)
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非ダンスミュージックのダンスミュージック化
増田:まずは、rare grooveさんについて教えて下さい。
佐藤:大学を卒業してからレコード屋さんでアルバイトとして働いて、お店をしたいというのと、音楽関連の仕事をしたいというのが合わさって2007年に開店しました。
ただ、丁度お店を始めた2007年は、実店舗からネットに移行し始めた時期でした。
増田:それは、世界的になんででしょうか?
佐藤:そうですね。特に日本は顕著だったと思います。
DJもレコードからCDなどに移行してましたので大変でした 笑
「えらい時期にはじめたな。」って周りからよく言われましたね。
例えば、今のこの(入居している)ビルも今はレコード店が7店舗も入ってますけど、始めは「Plantation」さんだけでした。レコードだけではなく、古着屋さんなんかもwebに移行する時期だったので、アメ村全体が閑散としてました。
増田:なるほどですね。アメ村を選んだのはなぜだったんですか?
佐藤:自分の中のイメージで、レコード屋さんとか、人が集まるところというとアメ村というイメージだったので。
増田:webで、「非ダンスミュージックのダンスミュージック化」がテーマと書かれていて、とてもいい言葉だなと思いました。運営の私たちも斜めから面白がるみたいなとこもあるので、なんとなくうちのホテルにもすごく合ってるなと思います。そういうコンセプトに行き着いたのって最初からじゃないんですよね?
佐藤:そうなんですよ。
どこのレコード屋さんもそうだと思うんですけど、最初は自分で集めたレコードで始めたわけですよ。
それで、自分はDJという訳ではなく、バンドとかをやってまして、ロックとかソウル、ファンクなんかの自分の好みのレコードを並べてたんですけど、このアメ村界隈って、お客さんがDJの方が多くて、一般のおじさんとかは少ない。
増田:笑
佐藤:それで、そういう方が(結果的に)来て頂いて、そういう人をターゲットにしてた訳では無かったんですけど、例えば、あるレコードを、ロックのレコードとして置いてたら「これ、アンビエントの○○ってレコードのミックスに入ってるんですよ。」 とか、ハウスDJのお客さんが、うちのレコードを見て「○○っていうDJがこのレコードを掛けてる」とかを教えてくれるんですね。
そういうのを僕は全く知らずに、「そうなんですか」って 笑
そんなこんなで、ローカルのDJから、海外のDJまで大阪でイベントをやる時に来てくれるようになってきまして。
増田:へー
佐藤:そこから口コミで広がって、海外のハウス系DJの人たちに徐々に来てもらえるようになってきました。
そんな感じで「非ダンスミュージック」が「ダンスミュージック化」されてると知っていきました。
増田:おもしろいですね。
それが何年頃なんですか? 最近ですか?
佐藤:いや、オープンして1年くらい経ってからですね。なので、それまでは何気なく営業してて 笑
最初の2年くらいで「そういう聴き方するんだ」って知るようになって、それから買い付けに行くようになりました。なので、買い付けに行っても自分の好きな音楽と、「DJで掛けられるんじゃないか」とか「カフェで掛けれるかも」みたいな視点を織り交ぜたセレクトにしてますね。
それと、私、レコードを買うのが好きなんですよ 笑
増田:笑
佐藤:それをお客さんに売って、お客さんに喜んでもらうのが好きなんですよね。なので、店舗に貯めておかないっていうのが自分の信条です。一般的なレコード屋さんは、レコードをすごくたくさん持ってるんですけど、自分の場合はコレクションが無いんですよね。
海外からもネットで注文も有りますし、自分も密にお客さんと会話をしたり、今では自分でもDJをしてるので世界中の人が欲してるレコードが何かっていう情報は常に入ってくるんですよね。今度、LAで和物だけのポップアップストアをやりに行ったりもしますし。
増田:なるほど。今は、世界的に何が欲されているんですか?
佐藤:今はちょっと落ち着いてきましたけど、日本のやつですね。
増田:タツローとかですか?
佐藤:そうですね。
日本のニューエイジ。。 もちろん日本以外も、ニューエイジ全般ですね。
増田:なんか、おもしろいですよね。
佐藤:ひと昔前は、日本でも、世界的にもニューエイジってジャンルは、買い付けに行ってもそんなところ誰も見てないし、「ゴミ」みたいな扱いでしたし市場価値としては100円、いわゆる1ドルレコードだったんですよね。それが、今は若い人がこぞってそこを見てます。
増田:なるほど。私は服が好きなんですけど、服もまったく同じ現象が起こっていて今まで「ゴミ」だった90年代~00年代の古着に価値が付き始めてますね。若い世代が面白がってるので、音楽もファッションも、リンクしているかもしれませんね。
昨今の日本のレコード店事情について
増田:日本のレコード屋さん全般についてお聞かせください。
デジタル全盛の今の時代に逆にアナログが盛り上がっていると最近良く聞きます。
なんとなく、今はレコードブームで、若者がアナログを買い出していたり、カセットテープもブームになっていたり、
レコードの針を作ってる会社の業績が上向いてるなんてニュースも読んだ事があります。
実際、レコード店さん的にはどうなんでしょう?
佐藤:文化としては、(レコードに関して)リバイバルというか、興味を持って貰って良くなっているとは思います。
あとは、海外のお客さん(の増加)ですね。
日本の音楽とか、レコードって状態もいいし、海外のアーティストのものでいろんなタイトル出てるんですよ。
それを探しに来るんですけど、我々お店側からすると、値段が上がって、仕入れが大変。
レコード店通しの取り合いになっています。なので、個人的に海外に行っても、高くて買えない状態が続いています。
増田:なるほどですねぇ。ちなみに、仕入れって具体的にどうされてるんですか?
アパレルだと、でっかい倉庫とかマーケットに行くイメージですけど。
佐藤:海外に買い付けに行く人は、レコードフェアがメインです。
毎月第四日曜はLAのどこどこみたいな。平日はレコード屋さんとかディーラーのお家に行ったり。
増田:なるほど。古着だと、朝の何時から何時は業者専用みたいになってますけど。
佐藤:いや、レコードに関しては誰でも入れるんですけど、正規の時間は10時オープン。
でも、アーリーバードって言って10ドル払えば8時から入場できるみたいなシステムが多いですね。
増田:今、外国人のお客さんが多いという事についてやはりホテル業界としては気になります。
やっぱり増えてるんですか?
佐藤:5,6年前からですかね。増えてます。最初は、オーストラリアからが圧倒的で、最近は、アジア。
マレーシアやタイなんかの東南アジアからも多いです。(DJではない)普通のお客さんも多いですよ。
カセットやCDは沢山有るみたいなんですが、レコードはあまり無い様なので、その点日本には良いレコードがあると知られていて、いらっしゃってるんじゃないでしょうか?
増田:口コミ効果はすごいですね。
菅野:海外もいろいろ行ってますけど、これだけレコード店が密集している地域って世界でも無いんですよ。
もちろん東京の新宿とか渋谷も多いですけど、ここら辺(アメリカ村)は世界一だと思います 笑
このビル自体が、レコード店が多く入居してるって、外国語で知らない間にサイトで紹介して貰ったり。
増田:確かに外国人が「えらいところに来てるな」っていうのは大抵現地で、現地の言葉で紹介されてることが多いですよね。
「MIX for THE BOLY OSAKA」の選曲
増田:今回、BOLYのために作って頂いたMIX拝聴したんですが、めちゃ良かったです。
私からのオーダーに関して、「ホテルの空間に合う音楽」から着想して頂いたのかなと思うのですが、どういう雰囲気を想像されて選曲したんですか?
佐藤:ホテルは初めてなんですが、海外のインターネットラジオなんかで「日本の音楽で」というしばりで頼まれたことはあります。なので、コンセプトあった方が、僕もやりやすいですね。
せっかくなので、大阪のアーティストでアナログ出してる人とか、大阪に呼んだ海外のアーティストで構成してみました。
DJのブッキングの際も、一回来て貰って「いつでも大阪おいで! 家泊めてあげるから」ってやるんですけど、
大阪って結構そういう風に良い意味でゆるかったり、距離が近いところが良いところだと思うんですね。
増田:私もそう思います。
佐藤:海外のアーティストの場合、みんな(大阪の事を)気に入ってくれて、「また来たい!」って言ってくれる事が多いので、BOLYも海外の人であろうが、「またいつでも帰ってこれる」みたいな場所になったらいいなと思って作りました。
増田:おっしゃってる事はすごくよくわかります。とても嬉しいですね。
しかも選曲自体もどこか「変」で、ひっかかりがありました。でも、不快ではない絶妙なロビーミュージックに仕上がっていると思います。
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:1.Jonny Nash - Exit Six
2.Damon Eliza Palermo - Yogi AM
3.7FO - Hou (OSAKA)
4.Synth Sisters - Time Is Flowing There (OSAKA)
5.Land Of Light - Presence Of The Past
6.Suzanne Kraft - Two Chord Wake
7.The BREEZE presents - That Look In Your Eyes
8.COS/MES - Mateki
9.Lexx - El Sueno Lucido
10.KOMODO - Music Akamady (7 Inch Version)
11.FREEKWENCY - Seal The Deal
12.D.K. - Play On
13.Benedek - Show Me
14.Roy Comanchero -Mick (OSAKA)
15.DJ Ageishi and Ackin' - Rain Parade Mark E Remix (OSAKA)
16.Cloudface - babyJ
17.Ackin' Feat. M.Akamatsu - Tembezi Marcellus Pittman Remix (OSAKA)
18.Tiago - Soa Como Sai
19.Jex Opolis - First Stomp NYC Dub
20.Mori Ra - Plateau (OSAKA)
増田:このMIXの中の、(OSAKA)と記載されているアーティストはどんな方達なんでしょうか?
あ、SYNTH SISTERSは聴いた事ありますね!
佐藤:[7FO]はSYNTH SISTERSと同じ、EM Recordsから最近出してすごく話題になってます。
Roy Comancheroさんは、友人でRunning backというドイツの人気レーベルからのリリースでも知られているNu Disco、ハウス系のDJで、今月末からカリフォルニアのツアーを私がアテンドします。
AGEISHIさん(AHB production)は、大阪ローカルはもちろん、全国からも信頼の厚い大阪の重鎮で、海外のDJからも非常にリスペクトされています。Ackin'さんも大阪を拠点に活動されているハウスのベテランDJです。
Mori Raさんもお付き合いの内外友達なんですけど、海外でもとても人気が高いですね。
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増田:ちなみに、大阪のレーベルEM Recordsさんって最近いろいろなところで耳にする機会が増えているのですが、やはり目立つ存在なのでしょうか?
佐藤:そうですね。去年創設20周年を迎えたレーベルで、大阪だけじゃなく日本を代表するインディペンデント・レーベルだと思います。日本、東南アジアをはじめ、世界各地の興味深い音源の再発や、アーティストの発掘などで海外からもリスペクトが高くて、私も買い付けで行った先の海外のレコード屋さんで『EM RECORDS』のコーナーをよく見かけて旅先でなぜか嬉しくなってしまいます (笑) 毎回、新作のリリースが楽しみなんですよ!
増田:最後に、当ホテルの地下にイベントスペースがあるんですが、何かrare grooveさんとイベントできないでしょうかね?
佐藤:それちょっと考えてたんですが、レコードフェアとかもいいかもしれないですね。
増田:いいですね! 是非やりましょう!!
オープニングスタッフ募集中
ー 「THE BOLY OSAKA」では、2019年3月頃から一緒に働いてくれるオープニングスタッフを募集しています。
- 募集職種
- フロントスタッフ
- 始業時期
- 3月ごろ
- 採用人数
- 1名
- 採用形態
- アルバイト ※正社員への登用あり
- 勤務地
- 大阪市中央区北浜2-1-16 THE BOLY OSAKA
淀屋橋駅・北浜駅から徒歩5分
- 補足
- 夜勤シフトがあるので、可能な方優先。
- 応募方法
- メールにてお問い合わせ下さい。
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